R2年 水質概論 問2 問題と解説

 問 題     

水質汚濁防止法に基づき、工場又は事業場から地下に有害物質使用特定施設に係る汚水等(これを処理したものを含む。)を含む水を浸透させる者が、有害物質使用特定施設を設置しようとするときに、届け出なければならない事項に該当しないものはどれか。

  1. 有害物質使用特定施設の使用の方法
  2. 汚水等の処理の方法
  3. 貯蔵される有害物質に係る搬入及び搬出の系統
  4. 特定地下浸透水の浸透の方法
  5. 特定地下浸透水に係る用水及び排水の系統

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

水質汚濁防止法の第5条2項に定められているのは、以下の8つです。

  1. 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  2. 工場又は事業場の名称及び所在地
  3. 有害物質使用特定施設の種類
  4. 有害物質使用特定施設の構造
  5. 有害物質使用特定施設の使用の方法
  6. 汚水等の処理の方法
  7. 特定地下浸透水の浸透の方法
  8. その他環境省令で定める事項

ここでややこしいのが、最後の「その他環境省令で定める事項」です。ここに「特定地下浸透水に係る用水及び排水の系統」が規定されているため、選択肢(3)以外が該当するので、(3)が答えとなります。

…と考えられれば望ましいのですが、上記は出題頻度の高い知識ではないため、これは知識問題ではなく考える問題と捉えたほうがよいかもしれません。

つまり、有害物質を含む水を地下に浸透させるような施設を作るにあたって、選択肢の中で最も重要度の低いものを探せば、それが正解である可能性が高いです。

(1)の「有害物質使用特定施設の使用の方法」は施設の基本的な情報となるので、これは届出が必要となります。

(2)、(4)、(5)に関して、今回は地下に有害物質を含む水を浸透させることが前提となっている施設なので、この水をどのように扱い、処理していくかということは重要な情報です。よって、(2)、(4)、(5)についても届出が必要となります。

残る(3)について、この施設でも有害物質を搬入したり搬出したりすることはあるかもしれませんが、地下水汚染が問題となる施設において、貯蔵用の有害物質の搬入・搬出が深刻な問題になるとは考えにくいです。

よって、(3)が誤った記述であり、正解であると判断することができます。


ちなみに、(3)の「貯蔵される有害物質に係る搬入及び搬出の系統」が届出の事項となるのは、今回の「地下に汚水等を浸透させる有害物質使用特定施設」ではなく、「有害物質貯蔵指定施設」です。

貯蔵施設の場合には、使用施設に比べて一度に取り扱う(貯蔵する)有害物質の量も多くなってくるので、この場合には有害物質を搬入したり搬出したりする際に事故や漏洩が起こらないよう、事前に「貯蔵される有害物質に係る搬入及び搬出の系統」に関する情報を届け出なければいけません。

この貯蔵施設に関する問題が出題されることもあるので、H30年 問3H25年 問2も参照してみてください。

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