R2年 水質概論 問1 問題と解説

 問 題     

水質汚濁に係る環境基準に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。

環境基準の達成状況を調査するため、公共用水域の水質の測定を行なう場合には、次の事項に留意することとする。

測定方法は、別表1および別表2の測定方法の欄に掲げるとおりとする。

この場合においては、測定点の(1)位置の選定、試料の(2)採取および(3)操作等については、水域の(4)汚濁発生源との関連を考慮しつつ、(5)最も適当と考えられる方法によるものとする。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

この問題の文章は法律の条文などではなく、告示(昭和46年環境庁告示59号)からの出題です。重要な条文というほどではないので、知識として覚えておく必要はないと思います。そこで、文章の内容からアプローチしていくことになります。

まず前提として、問題文に提示されている通り、ここでは「環境基準の達成状況を調査する」目的で水質測定を行い、その際の留意点に関する記述となっています。この点を念頭に選択肢を見ていきます。

(1)の「位置」は重要です。変にイレギュラーな地点で採水しても、そのエリアの水質が環境基準を達成しているかどうかの判断ができません。よって、そのエリアを代表するような場所で採水する必要があります。つまり、(1)は正しいです。

(2)の「採取」と(3)の「操作」はいずれも文章としておかしいところがないので、おそらく正しいと考えられます。絶対的に正しいと判断できるわけではないですが、とりあえずほかの選択肢を見てから判断すればよいと思います。

(4)の「汚濁発生源」について、水質測定の目的が「この水がどのくらい汚れているか」であるなら、汚濁発生源を考慮して測定するのも良い方法だと思います。しかし、今回の目的はそうではなく、「この水が環境基準を達成しているかどうか」を調べるのが目的です。

環境基準のうち「生活環境の保全に関する環境基準」は、利水目的(その河川の水を飲水として使うのか工業用水として使うのかなど)によって、その基準値が異なってきます。

ということは、その水がどこから来たか(汚濁発生源)を考慮するのではなく、むしろその水をどうするのか(利水目的)を考慮して、それに応じた環境基準の範囲を測定しやすい測定方法を選ぶことが重要になってきます。

よって、(4)の「汚濁発生源」が誤りで、正しくは「利水目的」となります。

(5)の「最も適当」も(2)や(3)と同じく、絶対に正しいとは判断しづらいですが、特におかしくもなさそうです。上記の通り(4)が明らかに誤りなので、(2)、(3)、(5)は正しいと考えられます。

以上から、正解は(4)となります。

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