H30年 大規模大気特論 問5解説

正規型プルーム式の水平拡散幅σy及び鉛直拡散幅σzに関する記述として、明らかに誤っているものはどれか。ただし、下図に示すパスキルの拡散幅に基づくものとする。

  1. 中立成層のもとで、σzが100mを超えるのは、風下5km地点を超えてからである。
  2. 最も安定な成層のもとでは、適用される地域内でσzが100mを超えることはほとんどない。
  3. 強不安定成層のもとで、風下0.5km地点のσy及びσzは、ともに100mほどになる。
  4. 強不安定成層のもとでは、風下1km地点のσzは0.5km地点の10倍以上の大きさになる。
  5. どのような成層のときも、風下距離が10倍になってもσyは10倍を超えない。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

図ではA、B、C…と書かれていて、選択肢では中立や強不安定などと書かれているので、まずは「パスキルの大気安定度」の分類を整理しておきます。これはよく使う知識なので、ぜひ押さえておいてください。

  • A:強不安定状態
  • B:並不安定状態
  • C:弱不安定状態
  • D:中立状態
  • E:弱安定状態
  • F:並安定状態

(1)は中立なので、図(b)のDを読み取ります。これは正しい記述です。

(2)は最も安定なので、図(b)のFを読み取ります。これも正しい記述です。

(3)は強不安定なので、図(a)及び図(b)のAを読み取ります。これも正しい記述です。

(4)も強不安定なので、図(b)のAを読み取ります。風下1km地点のσzは500mくらいで、風下0.5km地点のσzは100mくらいとなることがわかります。よって、「10倍以上」は言い過ぎで、実際には「約5倍」です。

(5)はA~Fの全てを見なければいけないので大変そうですが、問われているのがσyなので図(a)を見ると、どれもほぼ同じ傾きをしているため、このうち一つを確認すれば充分です。

どの10倍でも構いませんが、たとえばxが「0.1→1」となる部分のAを読むと、σyが「30弱→約200」となることが読み取れます。よって、xを10倍したときにσyは10倍まではいかないので、これは正しい記述といえます。

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