H29年 汚水処理特論 問12 問題と解説

活性汚泥の増殖に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 活性汚泥の増殖速度は、基質と活性汚泥との量的関係(F/M比)により異なる。
  2. 活性汚泥の増殖は、対数増殖期、定常期、内生呼吸期などに大別される。
  3. 標準活性汚泥法の汚泥は、主に対数増殖期にあり、分散し増殖する傾向にある。
  4. 内生呼吸期では、活性汚泥は汚泥内蓄積物質を消耗し、自己分解に至り、汚泥は解体する傾向を示す。
  5. 長時間エアレーション法の活性汚泥は主に内生呼吸期にある。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

まず初めに、この問題は活性汚泥の増殖というややマニアックな出題なので、これは捨て問題扱いでも仕方ないかもしれません。

汚水処理特論は25問中15問以上正解すれば合格なので、このような知識問題を無理に押さえておく必要はありません(試験対策とは別に、自分の業務と深く関わっていたり興味があったりして、しっかり学んでおくというのは良いことだと思います)。

以下にこの問題の解説をしますが、上記の通り頻出問題ではないので、さらっと読み流しても構いません。

活性汚泥の増殖速度は(1)にある通り、活性汚泥(微生物)に対して基質(微生物にとっての餌)が多いほど大きくなります。

また、増殖の仕方にはリズムがあり、最初は基質がたっぷりあるのでどんどん増殖し(対数増殖期)、しばらくすると基質が減ってきて増殖が抑えられ(定常期)、基質が足りなくなってくると活性汚泥が死滅してきます(内生呼吸期または死滅期)。よって、(2)、(4)の記述と合致します。

標準活性汚泥法は定常期を利用することが多く、この時期が最もフロックを形成しやすいです。よって、(3)の「主に対数増殖期にあり、分散し増殖する傾向にある」が誤りで、たとえば「主に定常期にあり、フロックを形成する」のような記述に改める必要があります。

残る(5)は正しい記述で、標準活性汚泥法の汚泥が定常期にあるのに対し、長時間エアレーション法の汚泥は内生呼吸期(死滅期)にあります。

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