H28年 汚水処理特論 問7 問題と解説

膜分離法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 精密ろ過は微細な懸濁粒子や細菌などの除去に用いられる。
  2. 逆浸透法は、溶液側に浸透圧以上の圧力をかけて半透膜を通過させ、溶解成分を除去する。
  3. ナノろ過法は逆浸透法に比べ操作圧力が低く、塩化ナトリウムの除去率が低い。
  4. 海水淡水化などで用いられる多段式プロセスでは、前段逆浸透膜モジュールの膜透過水を後段逆浸透膜モジュールに通すことで、より多くの膜透過水が得られる。
  5. 電気透析法は溶解塩類の除去に用いられ、水溶性電解質でないコロイド質や有機物は除去できない。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

膜分離法では、逆浸透膜モジュールによって水を膜透過水と濃縮液に分けます。膜透過水は逆浸透膜を通った水なので、塩類などが含まれていない純水となります。一方、濃縮液は膜透過水以外の水なので、むしろ塩類が濃くなっている水です。

海水淡水化などで用いられる多段式プロセスでは、1段目の逆浸透膜モジュールで得られた膜透過水はそのまま淡水として扱い、濃縮液のほうを2段目の逆浸透膜モジュールに送ります。

そして2段目でも同様の処理を行うことで、1段目の濃縮液が2段目の膜透過水と2段目の濃縮液に分かれます。2段目の膜透過水も逆浸透膜を通過した水なので、1段目の膜透過水と同様、淡水として扱うことができます。

さらに2段目の濃縮液を後段に送り……と同様のことを繰り返すのが多段式プロセスです。こうすることで、各段で得られた膜透過水が淡水として使えるので、より多くの膜透過水を得ることが可能です。

よって、(4)の「前段逆浸透膜モジュールの膜透過水」が誤りで、後段に送るのは「前段逆浸透膜モジュールの濃縮液」が正しいです。

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