H27年 大規模大気特論 問3 問題と解説

混合層に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 日射などによって暖められた地表面上に発生する。
  2. 層内では熱対流が活発で、一般に地上高さ1km程度に達する。
  3. 層内の大部分で、温位は高さによらずほぼ一定を保つ。
  4. 混合層より上層では、混合層内より温位は低くなっている。
  5. 混合層の上端には温度逆転層が付随しやすく、これはリッド(ふたの意)と呼ばれる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

混合層では、(1)にあるように日射によって地表面の空気が暖められ、空気が膨張して浮力が生じて熱対流(自由対流)が起こります。これは(2)にあるように、地上高さ1kmぐらいまで続いていて、地表からこのくらいの高さまでを混合層といいます。また、混合層では熱対流(自由対流)が活発なので、高さによらず温位がほとんど変わらないという特徴があります。

温位の定義は「ある気塊を標準的な参照圧力(気圧1000hPa)へ断熱的に変化させたときの温度」なのですが、これがイメージしづらい場合は、気温の減率が乾燥断熱減率より小さいときは温位が高く、気温の減率が乾燥断熱減率より大きいときは温位が低いと覚えてください。つまり、温位と気温の減率はその高低が逆の関係になります。

混合層では気温の減率が0.6℃/100mくらいでほぼ一定なので、温位もほぼ一定となります。よって、(3)も正しい記述です。

混合層の上層には安定な大気が広がっていて、高さが上がるほど、気温は減少し、温位は増加します。よって、(4)は「温位は低くなっている」が誤りで、「温位は高くなっている」となります。

(5)は(4)の解説の通り、混合層の上に温位の高い層があるため、混合層の上端よりも上層の下端のほうが温度が高くなっています。この部分を温度逆転層といいますが、ここでは上側が温かく下側が冷たいために空気の移動が起こりにくくなります。そのことから、この温度逆転層のあたりをリッド(ふた)と呼んでいます。

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