H27年 大規模大気特論 問4 問題と解説

煙突排ガス上昇式に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. コンカウ(CONCAWE)の式は、無風時の排ガス上昇式としても、しばしば使用される。
  2. モーゼスとカーソンの式は、運動量の項と浮力の項の和で表される。
  3. ブリッグスの無風時用の排ガス上昇式では、上昇高さは、排出熱量のみで決まり、他の気象条件の影響を受けない。
  4. プルーム拡散式を無風時に適用すると、計算される濃度は過小評価となってしまう。
  5. パフ拡散式を無風時に適用すると、濃度が蓄積して無限大となってしまうため、使用できない。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

これらの式の大雑把な特徴や使いどころを問う問題は頻出ですが、ここでは式の構成や変数を具体的に問われています。個々の式を正しく覚えておけば正解できますが、式の複雑さや出題頻度から考えて、全てを正確に覚えるのは難しいかもしれません。そのため、個人的には、この問題は捨て問題にしてしまっても仕方ないと思います。

(1)で、コンカウ(CONCAWE)の式は風が吹いていることが前提となっています。式の分母が風速のため、分母が0では成立しません。無風時の排ガス上昇式として使えるのは、ブリッグス(Briggs)の式です。

(3)で、ブリッグスの無風時用の排ガス上昇式の変数は、排出熱量と温位勾配の2つです。そのほかの気象条件の影響は受けません。

(4)で、プルーム拡散式では分母に風速がくるので、無風時は過小評価とか過大評価とかではなく、そもそも計算できません。無風時にはプルーム拡散式ではなくパフ式を用いる必要があります。

(5)で、パフ拡散式であれば無風時でも適用できます。無風時でも排ガスによる温度勾配や濃度勾配ができるので、拡散せずに濃度が無限大となることはありません。

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