H24年 汚水処理特論 問3 問題と解説

沈降分離に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 普通沈殿における固形物の分離効率は、装置内の水の流れが理想状態にあるとすれば、固形物の沈降速度分布と装置の表面積負荷により計算できる。
  2. 上昇流式沈殿池では、沈降速度が上昇流速より大きい粒子はすべて沈降分離される。
  3. 横流式沈殿池では、沈降速度が表面積負荷より小さい粒子でも、部分的に除去される。
  4. 汚泥の回分沈降曲線において、汚泥の初期濃度が高いほど、初期の界面沈降速度は小さくなる。
  5. 連続シックナーの内部において、汚泥濃度が大きくなるほど質量沈降速度は大きくなる。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

シックナーというのは沈降濃縮装置ともいい、汚泥の固体分と液体分を分けるための水槽のようなものです。しかし、この問題はそのことを知らなくても特に影響なく解くことができます。

(5)の後半部分にある「汚泥濃度が大きくなるほど質量沈降速度は大きくなる」という記述について考えると、汚泥濃度の極端に高いどろどろのところで素早く沈むというのはなかなかイメージしづらいと思います。むしろ、ある程度さらさらした液体中のほうが、汚泥の固体分が早く沈降すると考えるのが自然です。

よって、(5)が間違いだということが云えます。

ちなみに、実際には汚泥濃度が濃いと沈降の妨害になるために質量沈降速度が遅くなる一方、汚泥濃度が低すぎても(水が綺麗すぎても)、汚泥の量が少ないのと浮力が働くのとで、質量沈降速度は遅くなります。これらのバランスが調度良く取れたところで、質量沈降速度は最も大きくなります。

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