R2年 大規模水質特論 問7 問題と解説

 問 題     

製鉄所における排水処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. コークス炉ガス精製排水は、pHを9~10程度として金属成分を水酸化物として析出させて沈殿除去した後に、活性汚泥法によって処理される。
  2. 熱間圧延工程排水のうち直接冷却水における処理対象は、酸化鉄のスケールのSS、潤滑油や圧延油のノルマルヘキサン抽出物質及び水温である。
  3. 熱間圧延工程排水のうち間接冷却水は、基本的には冷却塔による水温低下処理のみを行うが、循環水の一部を砂ろ過することにより循環水中のSSを管理する。
  4. 表面処理排水のうちクロメート排水は、クロム(Ⅵ)を還元剤によって還元した後にpHを8~9程度に調整して沈殿除去を行う。
  5. 表面処理排水のうち酸洗排水と亜鉛メッキ排水は、pHを8.5~10程度に調整して溶解していた鉄と亜鉛を不溶物として析出させる。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

(1)に関して、コークス炉ガス精製排水は安水とも呼ばれます。これは、コークス炉ガスに水を噴霧して冷却する際に発生する凝縮水に、有機化合物や無機化合物がトラップされて排出されたものです。

コークス炉ガス精製排水(安水)は、脱安ストリッパーにおける蒸気ストリッピング処理でアンモニア、シアンを除去した後、活性汚泥法などで生物処理するのが一般的な水処理方法です。

よって、(1)の「pHを9~10程度として金属成分を水酸化物として析出させて沈殿除去」が誤りで、これを正しく書き換えるなら、上記のように「脱安ストリッパーにおける蒸気ストリッピング処理でアンモニア、シアンを除去」などとするのが妥当です。

コークス炉ガス精製排水(安水)の排水処理は頻出なので、ぜひ押さえておきたいところです。もっと詳しい処理フローを知っておきたい場合には、R1年 大規模水質特論 問7を参照してください。

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