R2年 大規模水質特論 問6 問題と解説

 問 題     

熱交換器と冷却塔を用いた開放循環式冷却水系に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 大部分の冷却水は系内を循環するが、蒸発や水滴としてのロス、軸受や配管系からの漏れ及びブロー水としての系外への排出があるため、水の補給が必要となる。
  2. 濃縮倍数とは、循環水中の塩類濃度が補給水の塩類濃度の何倍かを示す指標で、定常状態の運転では、ブロー水量を調整することで管理することができる。
  3. ブロー水を減らし、濃縮倍数を大きくして運転することで、補給水量を減らすことができ、腐食やスケールも発生しにくくなる。
  4. スケールとは、水に溶存していた成分が濃縮や形態変化により熱交換器や配管に付着したもので、炭酸カルシウムが析出する事例が多い。
  5. 配管系の腐食には塩化物イオン濃度の影響が大きい。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

(3)に関して、ブロー水を減らして濃縮倍数を大きくすると、塩類は濃縮されていきます。循環冷却水系における塩類というのは不純物という扱いであり、これが濃くなってくると腐食やスケールの析出、スライムの発生の原因となることがあります。

そのため、塩類の濃縮が起こらないように一定量の水をブロー水として引き抜き、引き抜いた分と同量のきれいな水(純水)を供給することで、循環冷却水の塩濃度を一定以下に保ち続けています。

よって、(3)のようにブロー水を減らすと補給水量を減らすことができるのは確かですが、腐食やスケールの発生リスクは上がるため、これが誤りの記述です。

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