薬物の各臓器のクリアランスを計算する場合は、簡単な状態に仮定して考えます。すなわち、静脈投与された薬物は、1:肝臓で代謝されて、最終的に腎臓を通り尿中へ消失 or 2:ダイレクトに腎臓で排泄され、未変化体として消失 のどちらか2通りの運命をたどると仮定して考えます。(便、唾液中などへの排泄を、ひとまず無視します。)
例として、10mg 薬物を静脈投与したら尿中に、未変化体が 4mg、代謝物が6mg 測定されたとします。また、この薬物の全身クリアランスは値がわかっており、ここでは 2 であるとします。
すると、「未変化体」がダイレクトに(肝臓で代謝を受けず)排泄された薬物 です。従って、4/10 = 0.4 。割合にすれば 40 % が腎臓で処理されていることから
腎 CL = 0.4 × 全身 CL = 0.4 × 2 = 0.8 と計算できます。全身 CL = 肝CL + 腎 CL なので、2 = 肝CL + 0.8 より、肝 CL = 1.2 と求めることができます。ちなみに、経口投与であればバイオアベイラビリティも考慮する必要があります。
以上です。
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