糸球体ろ過速度とは、糸球体を通過する液体(原尿)の通過速度です。GFR と呼びます。100mL/min ぐらいです。腎機能の指標として、GFR が用いられます。
(ちなみにですが、新生児の GFR は大人と比べて小さく、大体2歳前ぐらいで成人と同程度になるとのことです。
日本小児泌尿器科学会 http://jspu.jp/ippan_032.html より。)
GFR の測定は、理想的にはイヌリンという糖の一種を投与し尿中への排泄量を測定します。イヌリンは、ほぼすべてろ過される上に分泌や再吸収をうけない という特徴があるため、イヌリンの腎排泄量がわかれば糸球体ろ過された血液量がわかるというわけです。
とはいえ、イヌリン投与後、長時間尿中排泄量を測定するのは大変です。そこで血中のクレアチニンという物質の値から簡便にGFRを推定します。クレアチニンは体内(筋肉内)で合成され、一定の濃度が保たれています。このクレアチニンのクリアランスに注目することでも、腎機能を評価できます。
クレアチニンの腎クリアランスの測定には、イヌリンと同様に、理論的には、採血+蓄尿 を行いそれぞれのクレアチニン濃度を測定する必要があります。しかし、実務では簡便に採血のみで推定できる Cockcroft – Gault 式 という、以下の式で推定します。
『推定される腎クレアチニンCL =(140-年齢)×体重/72×血清クレアチニン濃度』
※女性の場合 × 0.85 。筋肉量が少ないため。
イヌリン 及び クレアチニン の構造は以下の通りです。
ちなみに、腎機能の検査関連でもう1つ重要な物質がパラアミノ馬尿酸です。構造は、以下になります。
この物質は糸球体ろ過に加え、能動的分泌によりほぼ排泄されかつ再吸収を受けない という特徴があります。いいかえると、腎臓を血が1回通るだけでほとんどが排泄されるような物質ということです。そのため、パラアミノ馬尿酸を投与した後に蓄尿して測定することで、腎臓にどれくらいの血液が流れているか、つまり「腎血流量」を知ることができます。
以上です。
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