薬物の体液中での存在状態と組織への移行の関連

血中における薬物の存在状態は、大きく分けて2つあります。タンパク結合型か、非結合型 です。

タンパク結合型は、薬理学的に不活性で、組織に移行せず体内をぐるぐる巡回しています。イメージとしては、舞台袖で出番待ちをしている役者さん のような感じです。タンパク非結合型は、組織へと移行し薬効を発揮します。

血中において、薬物が結合している重要なタンパク質が、「アルブミン」です。血中の運搬屋とたとえられます。イメージとしては、アマゾンで注文した品物を持ってきてくれる佐川さん等のトラックです。

アルブミンは、肝臓で合成されます。そのため、肝機能障害時に低アルブミン血症がおきることがあります。代表的な低アルブミン血症の症状は「むくみ」です。アルブミンが減少 → 血中の浸透圧が減少 → 血液側から組織側へと水分が移行 するためです。

アルブミンと薬物が結合する代表的部位が3つあります。サイトⅠ ワルファリンサイト、サイトⅡ ジアゼパムサイト、サイトⅢ ジギトキシンサイト という名前がそれぞれついています。

アルブミンの次に代表的な血中のタンパク質が「α1-酸性糖タンパク質」 です。その名の通り、酸性タンパク質です。そのため、塩基性薬物(リドカイン、イミプラミン、プロプラノロールなど)との親和性が高いことがポイントです。量は少ないのですが、体内の炎症などで増加することが知られています。

演習 98-42

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