非経口投与後の薬物吸収

薬物は非経口でも吸収させる事ができます。代表的な経路は、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、口腔粘膜、直腸、皮膚、肺粘膜などです。

皮内、皮下、筋肉内、静脈内は、注射投与により吸収させます。吸収が速やかであるのが特徴です。

口腔粘膜からの吸収には、舌下錠などが用いられます。吸収が速やかな上、肝初回通過効果を避ける事ができるという特徴があります。吸収は一般に受動拡散によります。ニトログリセリンや硝酸イソソルビドといった狭心症薬が代表的な薬です。

直腸からの吸収には、坐剤が用いられます。直腸下部(おしりに近い方)からの吸収において、肝初回通過効果を避ける事ができます。(直腸上部からの吸収は、肝初回通過効果を受けます。)吐き気止めであるナウゼリン坐剤や、熱性けいれんの予防に用いるジアゼパム坐剤などが代表的な薬です。

皮膚からの吸収には、貼付剤が用いられます。肝初回通過効果を避ける事ができ、長時間の薬効が期待できる点が特徴です。経皮吸収型製剤(TTS:Transdermal Therapeutic System)として、狭心症発作予防薬として用いられるニトログリセリンの貼付剤や、硝酸イソソルビドの貼付剤などが代表的な薬です。

肺からの吸収には、吸入剤が用いられます。肺から吸収される薬物は、粒子径により肺のどこまで到達するかが異なりそれにより吸収動態が異なります。肺胞まで到達させる場合、0.5~1 μmが望ましいとされています。肝初回通過効果を避ける事ができます。抗ぜん息薬であるシムビコートタービュヘイラーなどが代表的な薬です。

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