薬物の主な吸収部位

薬物の吸収とは、薬物が投与された部位から、血液循環系へと取り込まれることです。薬物の主な吸収部位は、大きく10種類です。すなわち、経口、静脈内、筋肉、皮下、口腔粘膜、皮膚、気管支粘膜、鼻粘膜、肛門、膣です。以下、投与経路に対応する、代表的な剤形を挙げていきます。

経口投与に用いられる主な剤形は、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤です。服用が簡便かつ、注射などに比べ安全、大量製造が容易で低コストといった利点があり、最も利用される投与方法です。

静脈内、筋肉、皮下投与に用いられる主な剤形は、注射剤です。特に静脈内投与した薬は、ただちに血流に乗るという特徴があります。すなわち、吸収過程を経ることのない投与経路であるという事です。そのため、吸収性の低い薬物の投与などに用いられます。

口腔粘膜に用いられる主な剤形は、舌下錠、バッカル錠です。舌下錠はベロの下に、バッカル錠は、ほほと歯茎の間に静置し、口腔粘膜から吸収させます。特に舌下錠は、舌の裏側に多くの血管があるため吸収後速やかに血流に乗ることに基づく素早い作用発現が特徴です。

皮膚に用いられるのは、貼付(ちょうふ)剤です。貼った場所のみに作用させることができる点や、皮膚から吸収させることで比較的長時間作用させることができるといった特徴があります。

気管支粘膜、鼻粘膜に用いられるのは、吸入剤です。内服するよりも少量で速く作用が発現するという特徴があります。主にぜん息治療薬などに用いられている剤形です。

肛門や膣に用いられるのが、坐剤です。吸収が素早いといった特徴があります。

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