炎症治療薬

炎症とは、局所性の生体組織における防御反応です。血管拡張、白血球の遊走を伴います。その場所が赤くなったり、腫れたり、痛みや熱を帯びたりします。炎症反応が過剰な時、抗炎症薬を使用します。

抗炎症薬は、ステロイドかそうでないかで大きく分類します。非ステロイド抗炎症薬は、NSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)と呼ばれます。NSAIDsは、全般的に胃腸障害の副作用がでやすいという特徴があり、よく胃腸保護剤と一緒に処方されます。

抗炎症薬は作用機序に基づき、大きく 9 つに分類されます。

   ⅰ.サリチル酸系
   ⅱ.インドール酢酸
   ⅲ.プロドラック
   ⅳ.オキシカム系
   ⅴ.インドメタシン類似薬
   ⅵ.バランスのよい NSAIDs
   ⅶ.フェナム酸系
   ⅷ.選択的 COX-2 阻害薬
   ⅸ.塩基性 NSAIDs

ⅰ.サリチル酸系

このタイプの代表的な薬は
   ・アスピリン(バイアスピリン)
   ・サリチルアミド
などが挙げられます。

アスピリン、サリチルアミドは、サリチル酸系 NSAIDs です。COX をアセチル化し、不可逆的に阻害します。抗炎症薬としてだけでなく、低用量で用いることで、抗血小板薬としても広く用いられています。小児のインフルエンザへの投与は、ライ症候群などの致死的な副作用を引き起こすため禁忌です。

ⅱ.インドール酢酸

このタイプの代表的な薬は
   ・インドメタシン(インダシン)
などが挙げられます。

インドメタシンは、インドール酢酸系 NSAIDs です。作用が強力で、主に外用剤として用いられます。

ⅲ.プロドラック

このタイプの代表的な薬は
   ・インドメタシンファルネシル(インフリー)
   ・アセメタシン(ランツジール)
   ・スリンダク(クリノリル)
などが挙げられます。

インドメタシンファルネシル、アセメタシンは、インドメタシンのプロドラッグです。胃腸障害が少ない薬です。

スリンダクはプロドラッグです。腎障害が少ない NSAIDs であるという特徴があります。

ⅳ.オキシカム系
このタイプの代表的な薬は
   ・ピロキシカム(バキソ)
   ・アンピロキシカム(フルカム)
   ・テノキシカム(モビフレックス)
   ・メロキシカム(モービック)
などが挙げられます。

◯◯キシカム(ピロキシカム、アンピロキシカム、テノキシカム、メロキシカム)は、オキシカム系 NSAIDs です。半減期が長く、1日1回の服用でよいという特徴があります。この中で、メロキシカムは特に COX – 2 選択的阻害薬と呼ばれます。

ⅴ.インドメタシン類似薬

このタイプの代表的な薬は
   ・ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)
   ・フェルビナク(ナパゲルン、セルタッチ)
などが挙げられます。

ジクロフェナクナトリウム、フェルビナクは、インドメタシン類似 NSAIDs です。中枢性副作用が少ないという特徴があります。

ⅵ.バランスのよい NSAIDs

このタイプの代表的な薬は
   ・イブプロフェン(ブルフェン)
   ・ナプロキセン(ナイキサン)
   ・ロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)
   ・フルルビプロフェンアセキチル(フロベン)
   ・ケトプロフェン(モーラス)
などが挙げられます。

◯◯プロフェン(イブプロフェン、ナプロキセン、ロキソプロフェンナトリウム、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン)は、効果と副作用のバランスがよく、使いやすいNSAIDsです。

ロキソプロフェンはプロドラッグで、胃腸障害が少ないという特徴があります。

ケトプロフェンは、湿布剤として広く用いられています。

ⅶ.フェナム酸系

このタイプの代表的な薬は
   ・メフェナム酸(ポンタール)
   ・フルフェナム酸(オパイリン)
などが挙げられます。

メフェナム酸、フルフェナム酸は、フェナム酸系 NSAIDs です。

メフェナム酸は、主に歯痛、生理痛、分娩後の疼痛の緩和に用いられるという特徴があります。

ⅷ.選択的 COX-2 阻害薬

このタイプの代表的な薬は
   ・エトドラク(ハイペン)
   ・メロキシカム(モービック)
   ・セレコキシブ(セレコックス)
などが挙げられます。

エトドラク、メロキシカム、セレコキシブは、選択的 COX-2 阻害薬です。非選択的COX阻害薬と比較して、胃腸障害や腎障害といった副作用が弱いという特徴があります。

ⅸ.塩基性 NSAIDs

このタイプの代表的な薬は
   ・チアラミド(ソランタール)
などが挙げられます。

チアラミドは、塩基性 NSAIDs です。COX 阻害作用はほとんど認められません。解熱、鎮痛、抗炎症作用を示します。

代表的な炎症治療薬をまとめると、以下の表になります。

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