代表的な抗不整脈薬

不整脈とは、心臓が一定のリズムで動いていない状態のことです。正常なリズムよりも速く動く場合、頻脈性不整脈と呼ばれます。逆に遅く動く場合は、徐脈性不整脈と呼ばれます。

抗不整脈薬は、作用機序に基づき、大きく5つに分類されます。

   ⅰ.クラス I 抗不整脈薬
   ⅱ.クラス II 抗不整脈薬
   ⅲ.クラス III 抗不整脈薬
   ⅳ.クラス IV 抗不整脈薬
   ⅴ.ジギタリス製剤

ⅰ.クラス I 抗不整脈薬

このタイプの代表的な抗不整脈薬は
   ・キニジン
   ・プロカインアミド(アミサリン)
   ・ジソピラミド(リスモダン)
   ・リドカイン(キシロカイン)
   ・メキシレチン(メキシチール)
   ・アプリンジン(アスペノン)
   ・プロパフェノン(プロノン)
   ・フレカイニド(タンボコール)
   ・ピルシカイニド(サンリズム)
などが挙げられます。(  )の中が商品名の一例になります。

クラス I 抗不整脈薬は、Na+ チャネル遮断により抗不整脈作用を示します。クラス I 薬は、活動電位時間に与える影響により更に、Ia .Ib ,Ic に分類されます。

キニジン、プロカインアミド、ジソピラミドは、Ia 群の抗不整脈薬です。
活動電位時間を延長します。

リドカイン、メキシレチン、アプリンジンは、Ib 群の抗不整脈薬です。
活動電位時間を短縮します。リドカインは、局所麻酔薬としても用いられます。メキシレチンは、糖尿病性神経障害に伴うしびれの改善にも使用されます。

プロパフェノン、フレカイニド、ピルシカイニドは、Ic 群の抗不整脈薬です。活動電位時間に影響をほぼ与えません。

Ia ,Ib ,Ic の活動電位に与える影響を図にすると以下のようになります。

ⅱ.クラス II 抗不整脈薬

このタイプの代表的な抗不整脈薬は
   ・プロプラノロール(インデラル)
   ・ピンドロール(カルビスケン)
   ・カルテオロール(ミケラン)
   ・ナドロール(ナディック)
   ・アテノロール(テノーミン)
   ・アセブトロール(アセタノール)
   ・メトプロロール(セロケン、ロプレソール)
   ・ビソプロロール(メインテート)
などが挙げられます。

クラス II 群の抗不整脈薬は、β遮断作用があります。

プロプラノロール、ピンドロール、カルテオロール、ナドロールは、非選択的 β 遮断薬です。喘息患者には禁忌です。

アテノロール、アセブトロール、メトプロロール、ビソプロロールは、選択的 β1 遮断薬です。選択的β1 遮断薬は、主に心臓に作用するため、喘息患者にも使用することができます。

ⅲ.クラス III 抗不整脈薬

このタイプの代表的な抗不整脈薬は
   ・アミオダロン(アンカロン)
   ・ソタロール(ソタコール)
   ・ニフェカラント(シンビット)
などが挙げられます。

クラス III 群の抗不整脈薬は、K+ チャネルを遮断します。クラス III 群の抗不整脈薬は、重症不整脈に対して使う薬です。強い薬で、副作用も強いイメージをもっておくとよいです。アミオダロンの副作用として、間質性肺炎があります。

ⅳ.クラス IV 抗不整脈薬

このタイプの代表的な抗不整脈薬は
   ・ベラパミル(ワソラン)
   ・ジルチアゼム(ヘルベッサー)
   ・ベプリジル(ベプリコール)
などが挙げられます。

クラス IV 群の抗不整脈は、Ca2+ チャネル遮断薬です。洞房結節と、房室結節の Ca2+ チャネルを遮断することにより作用します。

ⅴ.ジギタリス製剤

このタイプの代表的な抗不整脈薬は
   ・ジゴキシン(ジゴシン)
   ・メチルジゴキシン(ラニラピッド)
などが挙げられます。

ジゴキシン、メチルジゴキシンはジギタリス製剤です。これらの薬は、心拍数を低下させる薬です。

イソプレナリン(プロタノール)、アトロピンはその他の抗不整脈薬です。これらの薬は、徐脈性不整脈に用いられます。

イソプレナリンは、非選択的β受容体刺激薬です。徐脈に用いられます。

アトロピンは、抗コリン薬です。心臓の M2 受容体を遮断することにより心拍数を増加させ、徐脈に用います。

代表的な抗不整脈薬をまとめると以下の表になります。

コメント