代表的な薬物受容体は2つあります。
1つめは、Gタンパク質共役受容体(GPCR : G Protein-coupled receptor)です。Gは、グアニンヌクレオチド結合の略です。GPCRは、受容体とGタンパク質が結合した構造をしています。イメージと、実際のタンパク質結晶のリボン図の1例が以下になります。
共役する代表的な G タンパク質が大きく3つ存在します。
1つめは Gs タンパク質です。s は stimulate(刺激)の略です。Gs タンパク質と共役する受容体に基質が結合すると、Gsタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼ(AC:adenylate cyclase)が刺激(活性化)されます。
アデニル酸シクラーゼが活性化されると、細胞内サイクリックAMP(cAMP:cyclic AMP)が増加します。細胞内 cAMP が増加することで、様々な生理的反応が引き起こされます。「受容体に基質(メッセンジャー)がやってきた」というメッセージを、細胞内に伝える役割に注目し cAMPをセカンドメッセンジャーと呼びます。cAMP の構造は以下のようなものです。
2つめは Gi タンパク質です。iはinhibit(抑制)の略です。Gi タンパク質と共役する受容体に基質が結合すると、Gi タンパク質を介してアデニル酸シクラーゼ(AC:adenylate cyclase)が抑制されます。
アデニル酸シクラーゼが抑制されると、細胞内サイクリックAMP(cAMP:cyclic AMP)が減少します。細胞内 cAMP が減少することで、様々な生理的反応が引き起こされます。
3つめは Gq タンパク質です。 q の由来には決まった説がありません。Gqタンパク質と共役する受容体に基質が結合すると、Gqタンパク質を介してホスホリパーゼ C が活性化されます。
ホスホリパーゼ C は、細胞膜を原料としてジアシルグリセロール(DG)とイノシトール三リン酸(IP3)を生成します。これらがセカンドメッセンジャーとなって、様々な生理的反応が引き起こされます。
Gタンパク質、Gタンパク質を介して何がおきるか、セカンドメッセンジャーは何か をまとめると以下になります。
代表的な Gs、Gi、Gq 共役受容体は以下のようになります。
参考)生化学まとめ 1-2 (3) 自律神経系
Gs → β1 ,β2 、H2 、D1、V2
Gi → α2 ,M2 , D2 、AT2、GABAB
Gq → α1 ,M1 、M3 、H1、AT1
覚え方ですが「β受容体なら、Gs」。「Gs の残りは、D1(博士1年生)の H2(水素)」。後は「2とかbとかついたら Gi」。残りが Gq とすると覚えやすいかもしれません。
もう1つの代表的な薬物受容体は、イオンチャネル内蔵型受容体です。5量体からなる膜貫通タンパク質です。受容体そのものがイオンチャネルを形成しています。イメージは以下のようになります。
代表的なイオンチャネル内蔵型の受容体と、通過するイオンは以下のようになります。
NN , NM 受容体 → Na+ チャネル
GABAA 、グリシン受容体 → Clー チャネル
グルタミン酸受容体 NMDA 型 → Ca2+ チャネル
グルタミン酸受容体 non-NMDA型 → Na+ ,K+ チャネル
5-HT3 受容体→ Na+ ,K+ チャネル
特に 、Na+ チャネルが N 受容体、Clー チャネルが GABA 、グリシン受容体であることが重要です。
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