酸性度とは
酸や塩基の強さを表すとき、酸の強さを酸性度、塩基の強さを塩基性度を表現することがあります。
酸性度や塩基性度の指標としてpKa を用いるのが一般的です。pKa とは、酸の解離定数Ka の逆数に常用対数をとったものです。
つまり、pKa = – log Ka となります。
解離定数Ka がどのように求められるのかというと、次の平衡式から求まります。
上の反応式と計算式をみてもわかるとおり、強い酸であるほど(共役塩基が安定であるほど)反応が右側へと進むので、Ka は大きくなります。Ka が大きくなるということは、pKa が小さくなります。
つまり、pKa が小さいほど酸性度が強く、pKa が大きいほど塩基性度が強いということになります。
官能基による酸性度の比較
上述のとおり、酸の強さを比較したければ、その酸性度(の指標であるpKa)を比べることになります。代表的な酸とそのpKa を挙げると、以下のようになります(ただしpKa は温度や溶媒によっても値が変わるので、目安として受け取ってください)。
塩酸や硫酸、硝酸といったいわゆる強酸は電離度がほとんど1で、そのためpKa は負の値をとります。
中~弱程度の酸については酸が強い順から、スルホン酸、カルボン酸、炭酸、フェノール類となります。よく語呂合わせとして「スカタンのフェノール」などと言われることがあります(ス→スルホン酸、カ→カルボン酸、タン→炭酸、フェノールはそのまま)。
水やアルコールは中性です。数字をみてもわかるとおりほとんどpKaに違いはありません。
同族原子の酸性度の比較
ハロゲン化水素の酸性度の比較がよく問題になりますが、その強弱は以下の順番です。
これは原子番号(周期)の大きい順に並んでいるのでわかりやすいと思います。
両極端であるHIとHFを比べると、I原子よりもF原子のほうが原子半径が小さいので、HFは原子核同士の距離が近く結合も強くなります。一方、HIはH原子とI原子が離れていて、その分結合が弱いので電離しやすい構造となっています。
これと同じことがほかの族の原子にもいえます。つまり、同族の原子が水素に結合している場合、周期表で下にある化合物のほうが水素を電離させやすいです。
言い換えると、共役塩基が安定しているということになります。たとえばH2OとH2SならH2Sのほうが酸性度が高くなります。
同周期原子の酸性度の比較
上では同族原子が水素に結合している場合を扱いましたが、次は同周期原子が水素に結合している場合を考えます。
たとえば、第2周期で考えると、CH4、NH3、H2O、HFがありますが、これらの酸性度を比べると以下のようになります。
つまり、同周期では大きい原子ほど電離しやすいことがわかりますが、これは電気陰性度が大きい順です。電気陰性度が大きいと、それだけ負電荷を引きつけることができるため、陰イオンでも安定でいられます。
例を挙げるとCH3–は不安定ですが、F–は比較的安定であるということです。
ちなみに、同じ理論を先ほどのハロゲン化水素に当てはめると、前述とは逆の結果になってしまいます。しかし、これは電気陰性度による影響よりも、分子サイズによる結合の大小の影響のほうがでかいためです。
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