アルキンの代表的な反応は
- 末端アルキンのアルキル化反応
- アルキンの付加反応
- アルキンの水素化反応
の3つです。この項では、1.と2.について紹介し、3.については次項で説明をします。
末端アルキンのアルキル化反応
これは、末端アルキンの水素原子をアルキル基に置換させるような反応です。
具体的には、まずアルキルリチウム(ブチルリチウムが有名)や Grignard (グリニャール)試薬などの強塩基により末端アルキンの水素を脱プロトン化します。
次いでハロアルカンと反応させることで SN2反応が起き、アルキル基が導入されます。
(SN2反応については別の項で説明します。)
アルキンのハロゲン付加
アルケンの付加反応(anti付加)の項にてアルケンに対するハロゲンの付加を解説しましたが、アルキンでも同様の反応が起こります。
つまり、1 当量のハロゲンを作用させると以下のような trans 体のアルケンが生成します。2 当量以上のハロゲンを用いるとさらに付加反応が進行し、アルカンとなります。
アルキンのハロゲン化水素付加
Markovnikov則の項でアルケンに対するハロゲン化水素の付加反応は Markovnikov 則で進行することを説明しました。基質がアルキンでもそれは同様で、アルキンへのハロゲン化水素の付加は Markovnikov 則に従います。
1 当量のハロゲン化水素があれば trans の位置に付加したアルケンができ、2 当量以上ではアルカンが生成します。
アルキンの水付加
Markovnikov則の項ではアルケンに対する水の付加も説明済みで、Markovnikov 則に従いました。アルキンでも同様にして、Markovnikov 則に従った付加反応が起こります。
しかし注意して欲しいのは、生成したアルケンにヒドロキシル基が付いているという点です。この、ヒドロキシル基のついたアルケンをビニルアルコールといいますが、これは不安定な化合物であり、容易に水素転位が起こりケトンもしくはアルデヒドへと変わります。
全てがそうなるということではなく、これは偏った平衡反応であり「ケト-エノール平衡」と呼ばれます。よって、アルキンに対する水の付加反応では、大部分がケト型の生成物を得ることになります。
反応式は以下の通りです。
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