キラリティーと光学活性

キラル

キラルとは、その鏡像体をいくら回転させても元の化合物とは重ならないような分子のことを指します。鏡像体が存在するということは、つまり立体異性体を持つということです。

一般的には、不斉炭素を持つ分子はキラルである場合が多いです(前項の乳酸を参照)。また、キラルな分子は光学活性を持ちます(光学活性については少し下を参照ください)。

アキラル

アキラルとは、キラルでないという意味です。すなわち、その鏡像が元の化合物と全く同一であり、光学活性を持たないような化合物です。


図1.プロパン-2-オールとその鏡像体

図1にプロパン-2-オールとそれを鏡に映した化合物を示しました。しかし、一方をうまく回転させると他方と完全に一致するため、これらは光学異性体ではなく単一の化合物ということになります。この例のように不斉炭素を持たない化合物の多くはアキラルであり、光学不活性です。

光学活性(旋光性)

「光学活性」と「旋光性」は同じです。有機化学では前者が多く用いられ、物理化学では後者が多く使われるような印象があります。

特殊な光があるキラル化合物の試料を通過する時、入射光の偏光面が回転するという現象が起こります。

また、先ほどの化合物と光学異性体(より正確にはエナンチオマーと書くべきですが、ここでは説明を省き、次項で説明します)の試料で同様のことをすると、今度は偏光面が逆向きに、ちょうど同じ角度だけ回転します。

このような性質が光学活性または旋光性です。光学異性体(正確にはエナンチオマー)は互いにほとんどの物理的・化学的性質が同じなので、このような手段によって区別をしています。

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