代表的な半固形製剤の種類と性質

代表的な半固形製剤として
坐剤、外用固形剤、リニメント剤、軟膏剤、テープ剤、パップ剤があります。坐剤は、直腸に適用する製剤です。その他は、皮膚などに適用する製剤です。軟膏剤について、軟膏基材の分類をしっかりおさえておきましょう。

坐剤とは
肛門又は膣に適用する固形の外用剤です。局所作用及び、全身作用を目的とする場合があります。全身作用を目的とする時、薬物が直腸下部(おしりに近い方)から吸収されると、肝初回通過効果の回避が可能です。さらに、胃障害のおそれがないという長所があります。

外用固形剤とは
皮膚又は爪に、塗布又は散布する固形の製剤です。経皮吸収型製剤も含まれます。局所作用及び、全身作用を目的とする場合があります。

リニメント剤とは
液状又は泥状に製した、皮膚にすり込んで用いる外用剤です。通常刺激作用があります。ピリッとするということです。

軟膏剤とは
全体を均質な半固形状にし、適当な硬さに調節した、皮膚に塗る外用剤のことです。医薬品を均一に分散させるのが、軟膏基材です。

軟膏基材は、大きく4つに分類されます。
すなわち、油脂性基材、乳剤性基材、水溶性基材、懸濁性基材です。

油脂性基材の代表例は
白色ワセリン、流動パラフィン、単軟膏です。皮膚保護作用にすぐれ、刺激性は少ないです。水で洗っても除去が難しいです。

乳剤性基材は
さらに、w/o型と、o/w型に分類されます。※w/o、o/w については 参考) 製剤学まとめ 乳剤の型と性質 を参照ください。w/o型は、更に、水相を欠くものと、水相を有するものに分類されます。

乳剤性基材、w/o型、水相なしの代表例は
親水ワセリンです。水分を加えると、乳剤となります。

乳剤性基材、w/o型、水相ありの代表例は
吸水軟膏(吸水クリーム)、コールドクリームです。乾燥型の皮膚疾患に適用します。

乳剤性基材、o/w型の代表例は
親水軟膏(親水クリーム)、バニシングクリームです。水で洗い流すのが簡単です。乾燥型の皮膚疾患に適用します。

水溶性基材の代表例は
マクロゴール軟膏です。水で洗い流すのが簡単です。

懸濁性基材は、無機性及び有機性に分類されます。無機性懸濁性基材の代表例は、ベントナイトです。有機性懸濁性基材の代表例は、デンプン糊、メチルセルロース、カルメロースナトリウムです。水で洗い流すのが簡単です。

テープ剤とは
ほとんど水を含まない基材を用いる、皮膚に貼りつける製剤です。テープ剤の特徴は、皮膚に貼りつけて用いるという点です。

パップ剤とは
水を含む基材を用いる皮膚に貼りつける製剤です。パップ剤の特徴は、テープ剤と同様、皮膚に貼りつけて用いるという点です。

※テープとパップの違いは、テープがどちらかと言えば剥がれにくい。パップはどちらかと言えば貼った時ひんやりする。という特徴があります。これは、使用している基剤の違い(テープ:脂溶性/パップ:水溶性)に主に起因します。

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