細胞内で情報を伝達する主要なタンパク質

細胞内で情報を伝達する主要なタンパク質は、大きく4グループに分類できます。すなわち、タンパク質キナーゼ、受容体結合タンパク質、細胞周期調節系タンパク質、アポトーシス関連タンパク質です。

タンパク質キナーゼは、タンパク質をリン酸化する酵素です。リン酸化は、セリン、トレオニン、チロシン残基の OH 基に対して行われます。タンパク質がリン酸化及び脱リン酸化を受けることで、タンパク質の構造が変化し活性が調節されることにより、細胞内情報伝達が行われます。

受容体結合タンパク質は、細胞膜の受容体に結合しているタンパク質です。7回膜貫通型受容体に結合する G タンパク質や、チロシンキナーゼ内蔵型受容体に結合するアダブタータンパク質などがあります。

Gタンパク質にはサブタイプがあり、それぞれの作用が異なります。代表的なサブタイプであるGs , Gi , Gq タンパク質に関して、受容体との関連については、薬理学まとめました 1-1 4)を参照ください。

アダプタータンパク質の代表例は Grb2 です。このタンパク質は、リン酸化チロシン残基を認識します。

もう少し詳細に説明すると、まず、インスリン受容体にインスリンなどの基質が結合した時に
自己リン酸化がおきます。リン酸化されるのは、細胞内部におけるチロシン残基です。そして、リン酸化チロシン残基を認識するのが Grb 2 というタンパク質です。

Grb2 は、SH2 ドメインという特徴的部分構造を持ち、このドメインがリン酸化チロシンに対する結合性を持ちます。ちなみに、この SH2 ドメインを持つのは Grb2 だけではなく、他にも複数のタンパク質が知られています。

細胞周期調節系タンパク質の代表例は、サイクリン及び、サイクリン依存性キナーゼです。サイクリン及びサイクリン依存性キナーゼは、細胞周期を進行させるタンパク質です。種々のサイクリン及びサイクリン依存性キナーゼが存在しており、細胞周期の各段階で、それぞれのタンパク質が関与します。

アポトーシスとは、細胞自らが自己消化し、死滅する、細胞死のことです。アポトーシスは、DNAの異常などによって引き起こされます。関与するタンパク質としては、カスパーゼが知られています。カスパーゼは、アポトーシスの誘導にかかわるプロテアーゼの一種です。

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