タンパク質の翻訳後修飾

タンパク質は、遺伝子情報にもとづき、アミノ酸配列にしたがって N 末端から順番にアミノ酸が結合していって生成されます。この DNA の遺伝情報からタンパク質が生成されることを翻訳と呼びます。

翻訳中にポリペプチド鎖は折りたたまれていき、三次構造をもちます。しかし、多くのタンパク質はこれだけでは機能を持ちません。すなわち、翻訳後に一部のリン酸化や糖鎖の付加といった化学反応をうけ、これにより機能を持ちます。このような、翻訳後修飾によるタンパク質の調節により、様々な環境の変化に対応した生体内におけるタンパク質の活性調節が実現されます。タンパク質の代表的な翻訳後修飾を以下に列挙します。

・タンパク質の限定分解 → 翻訳されたタンパク質が、一部分解されます。分解を行うのは、分解酵素です。

・糖鎖付加 → タンパク質に、糖が付加されます。※セリン、トレオニン残基の OH 基に結合する O-糖鎖と、アスパラギン残基のアミド基に結合する N-糖鎖があります。糖鎖付加は、小胞体及びゴルジ体で行われます。

・リン酸化 → リン酸が付加されます。※セリン、トレオニン、チロシン残基にリン酸は結合する。

・アセチル化 → アセチル基が付加されます。※DNAが巻き付いているヒストンタンパク質において重要な翻訳後修飾です。

補足:ヒストンタンパク質は、塩基性タンパク質(正の電荷を持つアミノ酸含有量が多いタンパク質のこと。アミノ酸を具体的にあげると、リシン、アルギニン)なんだけど、リシン残基がアセチル化されると、正電荷が減少 → DNA分子とのクーロン力による安定化が減少 → DNAとの結合が弱まる → DNAがほどけやすくなり、転写・複製の調節などに関与します。

・メチル化 → メチル基が付加されます。※ヒストンタンパク質のメチル化により、遺伝子の転写活性が調節されています。

・ユビキチン化 → ユビキチンというポリペプチドが付加されます。※ユビキチンとは、76アミノ酸残基からなるポリペプチドです。これがついたタンパク質は、プロテアソームという、ATP 依存性タンパク質分解複合体により分解されます。「これはゴミです」っていうタグがユビキチンのイメージです。

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