脂質の分類、構造の特徴と役割

脂質とは、水に溶けない物質の総称です。脂質は、大きく単純脂質と、複合脂質に分類されます。

単純脂質とは、アルコールと脂肪酸のエステルのことです。代表例は、トリパルミチンです。トリパルミチンは、グリセリン(アルコールの一種。グリセロールとも呼ばれます。)と、3分子のパルミチン酸(脂肪酸の一種。炭素数16)のエステルです。単純脂質の主な役割は、貯蔵脂肪として、エネルギーを貯蔵することです。

複合脂質とは、分子中にリン酸や糖などを含む脂質のことです。
構造中にリン酸エステル部位を持つ脂質は、リン脂質と呼ばれます。リン脂質は、グリセリンを骨格とするグリセロリン脂質と
スフィンゴシンを骨格とするスフィンゴリン脂質の2種類に分類されます。グリセリンと、スフィンゴシンの関係の略図は、以下になります。

グリセロリン脂質の代表例は、ジパルミトイルホスファチジルコリンです。パルミチン酸(脂肪酸の一種。炭素数16)2分子と、コリン、グリセリンからなる、リン酸エステル部位を持つ脂質です。構造の略図は、以下のように表されます。

ちなみに、ホスファチジルとついていたら、グリセロリン脂質です。

スフィンゴリン脂質の代表例は、C8 セラミド-1-リン酸です。構造は以下になります。

ちなみに、繰り返しになりますが
セラミドとは、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合した化合物群の総称です。

リン脂質の主な役割は、細胞膜構成成分として働くことです。細胞膜の大部分はリン脂質です。リン脂質は脂質二重層を形成します。

一方、構造中に糖をふくむものは糖脂質と呼ばれます。リン脂質と同様に、グリセロ糖脂質と、スフィンゴ糖脂質の2種類に分類されます。

グリセロ糖脂質の代表例は、モノガラクトシルジアシルグリセロールです。
糖の部分がガラクトースであり、脂肪酸が2つついている化合物の総称です。

スフィンゴ糖脂質の代表例は、α-ガラクトシルセラミドです。海綿の一種から抽出・分離された化合物です。

糖脂質の主な役割は、リン脂質と同様に細胞膜構成成分として働くことです。脂質二重膜内部から膜の表面へと突き出すように存在しています。特定の化合物などの認識サイトとして働いています。

(参考: 身近な話題と、糖脂質の関係として、血液型が挙げられます。血液型の違いとは、赤血球細胞表面に突き出ている糖鎖の違いのことです。

ものすごく大雑把にいえば、O型が一番シンプルな糖鎖が突き出ています。5つの糖です。(H抗原と呼ばれます。細胞表面から、グルコース-ガラクト-ス-N-アセチルグルコサミン-ガラクトース-フコースとつながった糖鎖です。)

A型とB型は、O型の表面に、もう1つ、それぞれ別の糖(A型:N-アセチルガラクトサミンが、ガラクトースに結合した形。B型:ガラクトースが、ガラクトースに結合した形。)がくっついています。

AB型は、A型とB型の両方が突き出ています。 参考 終わり)

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