筋収縮の調節機構

筋肉は大きく3つに分類されます。骨格筋、心筋、平滑筋です。

骨格筋は、運動神経により支配されています。意思によって動かすことが出きます。こちらのメカニズムはかなり詳細にわかっています。

心筋、平滑筋は、自律神経により支配されています。意思で動かすことはできません。こちらのメカニズムは、まだ不明な点も多いです。

骨格筋と神経の接合部、すなわち運動神経と骨格筋のシナプスのイメージが下図になります。

刺激が運動神経終末まで伝導されると、運動神経からアセチルコリン(Ach)が放出され、骨格筋の Nm 受容体に結合します。

これにより、筋小胞体から Ca2+ が放出されます。この筋小胞体からの Ca2+  放出には、筋小胞体膜に存在するリアノジン受容体が関与していることがわかっています。(余談ですが、悪性高熱症と呼ばれる全身麻酔の併発症には、このリアノジン受容体の変異が多くの場合、原因であることがわかっています。)

この Ca2+ は、トロポニン C と呼ばれるタンパク質と結合します。これをきっかけとし、アクチンとミオシンが滑りこむことにより骨格筋の収縮がおきます。

平滑筋では、種々の刺激に対応して、細胞外からの Ca2+ 流入がおきこれをきっかけとして筋小胞体からの Ca2+ 放出がおきます。※ 細胞質内の Ca2+ 濃度依存的に 小胞体から Ca2+ 放出されることを特に 「Ca2+ 誘発性 Ca2+ 放出」(Ca2+ – induced Ca2+ – release、CICR)と呼びます。

次に、Ca2+ がカルモジュリンと呼ばれるタンパク質と結合します。その結果ミオシン軽鎖キナーゼと呼ばれる、リン酸化タンパク質が活性化されます。そしてミオシンがリン酸化されることで、アクチンとミオシンの滑り込みが引き起こされて平滑筋の収縮がおこるというのが、わかっているメカニズムです。

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