国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問87解説

 問 題     

女性の性周期に関する記述のうち、最も妥当なのはどれか。


1.一般的に、ヒトの月経周期は約 28 日間であり、月経の始まる日を第 1 日目として、最初の約 14 日間は黄体期、次の 1 ~ 3 日間は排卵期、その後の 11 ~ 13 日間は卵胞期と呼ばれる。

2.黄体期には、視床下部における黄体形成ホルモン (LH) 及び卵胞刺激ホルモン (FSH) の産生が極大を迎えるとともにアクチビンの分泌も増大する。

3.卵胞期には、高濃度のエストロゲンによる負のフィードバックによってゴナドトロピン放出ホルモン (GnRH) の分泌が抑制され、排卵が誘発される。

4.閉経後は、卵巣のエストロゲン及びプロゲステロンの合成・分泌能の低下に伴い、LH 及び FSH の血中濃度も低値に維持される。

5.受精卵が着床し妊娠が成立すると、胎盤から分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピンによって、妊娠黄体が維持され、絨毛からのエストロゲンやプロゲステロンの分泌が促進される。

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

選択肢 1 ですが
黄体期と卵胞期が逆です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
FSH 上昇 → LH 急上昇 → 排卵 → 黄体期 という流れです。黄体期に LH や FSH 産生が極大になるわけではありません。選択肢 2 は誤りです。ちなみに、アクチビンは、卵胞刺激ホルモン (FSH) の合成と分泌を促進し、月経周期を調節する役割を持ったペプチドです。

選択肢 3 ですが
卵胞期にエストロゲン濃度上昇は妥当です。そして、卵胞期は GnRH も上昇します。GnRH は下垂体より卵胞刺激ホルモン (FSH)  及び 黄体形成ホルモン (LH) 分泌を促します。「エストロゲンによる負のフィードバックによってゴナドトロピン放出ホルモン (GnRH) の分泌が抑制」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
血中の女性ホルモンの濃度が低下すると、FSH と LH の分泌は促進されます。その結果、女性ホルモン 分泌が促進されます。つまり、閉経後血中女性ホルモンが低下 → LH、FSH の血中濃度は高値で維持されることになります。

選択肢 5 は妥当です。
妊娠成立後のホルモンに関する記述です。


以上より、正解は 5 です。

参考 性周期、妊娠、出産
https://yaku-tik.com/yakugaku/kise-6-1/

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