国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問29解説

 問 題     

次の ㋐、㋑、㋒ の各有機化合物と 1H NMR スペクトルのデータ (室温、溶媒 CDCl3) の組合せとして妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、s は一重線、t は三重線、q は四重線、m は多重線を表す。

㋐ 酢酸エチル
1H NMR (ppm):1.06 (3H,t),2.14 (3H,s),2.45 (2H,q).

㋑ N,N‒ジメチルホルムアミド
1H NMR(ppm):2.88 (3H,s),2.97 (3H,s),8.02 (1H,s).

㋒ 1,4 ‒ ジオキサン
1H NMR(ppm):1.84 (4H,m),3.73(4H,m).


1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋒
4.㋑
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

各有機化合物の構造式は以下の通りです。
名前から書ける必要があります。

㋐ ですが
酢酸エチルはエステルなので、3.5 ~ 4.5 ppm に 2H のピークが出ます。対応するピークがないため、㋐ は誤りです。

㋑ は妥当です。

㋒ ですが
1,4 – ジオキサンは対称性から考えて、8 つの H に対して 1 本のピークが対応します。多重線 2 本のピークではありません。㋒ は誤りです。


以上より、正解は 4 です。

参考 1H – NMRの化学シフト
https://yaku-tik.com/yakugaku/yk-4-1-2/

コメント