国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問94解説

 問 題     

放射線の生物作用に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 低酸素状態にある細胞は、X 線などの低 LET 放射線への感受性が高くなる。

㋑ 酵素の水溶液に放射線を照射すると、酵素濃度が低いほど失活する酵素の割合は多くなる。

㋒ ラジカルスカベンジャーは、間接作用を抑制することで放射線防護剤となる。

㋓ グルタチオンやシステアミンなど SH 基をもつ化合物は放射線増感剤となる。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
LET とは、放射線が媒質中を通過する際、媒質に与えるエネルギーの事です。そして、「酸素に富んだ」細胞は、放射線感受性が高いです。「低酸素状態にある細胞は、… 感受性が高くなる」わけではありません。㋐ は誤りです。

㋑ は妥当です。
水中の物質が放射線によって不活性化される (損傷を受ける)とき、水中濃度が低いほど不活性化される物質の割合が増加する効果を「希釈効果」といいます。

㋒ は妥当です。
代表的ラジカルスカベンジャーとしては、ジメチルスルホキシド、システイン、システアミン、グルタチオンなどがあります。

㋓ ですが
グルタチオンやシステアミンは代表的ラジカルスカベンジャーです。放射線「防護剤」となります。放射線「増感剤」ではありません。代表的放射線増感剤としては,フルオロピリミジン系、ゲムシタビン系、プラチナアナログ系などがあげられます。放射線増感剤は「ラジオエンハンサー」とも呼ばれます。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 3 です。

類題 H28no93 放射線の生物作用
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