国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問62解説

 問 題     

食中毒の原因菌及びその毒素に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ オクラトキシン A は、穀類や豆類、コーヒー豆などのほか、ビールやワインのような加工食品からも検出されているカビ毒で、肝機能及び腎機能の障害を起こす。

㋑ カンピロバクターは、鶏や牛などの腸内常在菌で、食品や飲料水を介してヒトに感染する。乾燥や加熱に弱いが低温には強く、頭痛、腹痛、下痢を起こす。

㋒ ブドウ球菌による食中毒の原因食品は、欧米でも日本でもハムやソーセージなどの肉類が最も多い。その毒素であるエンテロトキシンは、65 ℃、30 分の加熱により失活する。

㋓ セレウス菌は、汽水域や河川などの環境に生息し、魚介類を介してヒトに感染する。また、食品の保存温度の違いにより嘔吐型と下痢型に分かれる。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当です。
オクラトキシン A についての記述です。

㋑ は妥当です。
カンピロバクターについての記述です。

㋒ ですが
ブドウ球菌による食中毒の原因としては「おにぎり」が知られています。少なくとも日本で「ハムやソーセージなどの肉類」よりはおにぎりが多いと思われます。また、黄色ブドウ球菌が作る毒素エンテロトキシンは、100 ℃、30 分の加熱でも失活しません。㋒ は誤りです。

㋓ ですが
セレウス菌は土壌細菌です。「汽水域や河川などの環境に生息」ではありません。セレウス菌による食中毒の原因食品は焼飯、ピラフなどの米飯調理食品です。「魚介類を介して」ではありません。嘔吐型、下痢型の2つのタイプが存在し、国内ではほぼ嘔吐型が報告されています。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

参考 細菌性・ウイルス性食中毒
https://yaku-tik.com/yakugaku/es-1-3-2/

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