国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R3年 問25解説

 問 題     

分子振動に関する次の記述の ㋐、㋑、㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「二原子分子である H2 分子は分子軸に沿って振動し、振動の自由度は 1 である。一方、ベンゼン C6H6 分子の振動の自由度は ㋐ である。

H2 分子の分子振動の振動数は、調和振動子近似の下で分子の力の定数と換算質量によって決まる。H2 分子の換算質量は、H 原子の質量に比べて ㋑。

分子は赤外線を吸収・放出し振動状態が変化する。例えば、HCl 分子の振動量子数 v = 0 から1 への遷移は許容遷移である。また、v = 2 から 1 への遷移は ㋒ 遷移である。」

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ ですが
振動の自由度は、原子数を N として直線分子であれば「3N – 5」、非直線分子であれば「3N – 6」です。ベンゼン分子の振動の自由度は、ベンゼンの原子数が 12、非直線分子なので 3 × 12 – 6 = 30 です。正解は 1 ~ 3 です。

㋑ ですが
換算質量とは、2分子でそれぞれの質量が m1 , m2 の時、(m1 × m2)/(m1 + m2) のことです。H2 であれば、m1 = m2 = 1 なので、換算質量は (1 × 1)/(1 + 1) = 1/2 です。H 原子の質量 1 よりも小さくなります。これにより、㋒ は「許容」とわかります。

ちなみに
遷移のうち起こりやすいものが「許容遷移」、起こりにくいものが「禁制遷移」です。


以上より、正解は 1 です。

類題 H29no25 分子振動
https://yaku-tik.com/yakugaku/km-29-25/

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