国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問25解説

 問 題     

分子振動に関する次の記述の ㋐、㋑、㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「水分子において、振動の自由度は 3 個あり、振動に伴い電気双極子モーメントが変化する基準振動、すなわち赤外活性な基準振動は ㋐ 個ある。

一方、二酸化炭素分子は ㋑ 個の振動の自由度があり、対称伸縮振動、変角振動、逆対称伸縮振動の 3 種類に分類できる。このうち、赤外不活性な振動は ㋒ である。」

  ㋐ ㋑ ㋒
1. 3  5  変角振動
2. 3  4  変角振動
3. 3  4  対称伸縮振動
4. 2  5  変角振動
5. 2  5  対称伸縮振動

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐、㋑ ですが
N 個の原子からなる分子の運動は大きく 3 つに分類できます。1:重心が移動=並進、2:重心まわりの移動=回転、3:原子間距離の変動=振動 です。振動の自由度は、直線形分子では、3N ー 5、非直線形分子では、3Nー6と表されます。

ちなみに、「3N」 は、N 個ある原子の3次元方向の自由度なので 3N です。ここから並進が3方向あるので3引いています。さらに、分子の形により回転が2種類か3種類かで違うため、直線形では2を引いており、非直線形では3を引いています。全体の自由度が 3N だが、運動の種類が 3 種類で、並進、回転による自由度を引いた残りが振動の自由度ということです。

従って、まず ㋑ に注目すると、CO2 の振動の自由度は 3 × 3 ー 5 = 4 です。これにより、正解は 2 or 3 です。㋐ は 3 とわかります。


㋒ ですが
赤外不活性とは、双極子モーメントが変化しないということです。つまり対称的な振動です。㋒ は「対称伸縮振動(↔CーOーC↔)」です。

以上より、正解は 3 です。

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