国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R2年 問81解説

 問 題     

蛍光ラベルしたタンパク質を細胞に発現させ、そのタンパク質の動態を解析する際に用いる実験手法に関する次の記述の ㋐、㋑、㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「蛍光が強く観察される領域の一部にレーザー光を照射し蛍光を退色させた後、その領域で起こる蛍光の回復時間を計測することで、蛍光ラベルしたタンパク質の移動を解析する方法を ㋐ といい、蛍光が回復した後に再び同じ領域をレーザー光で退色させることを繰り返し、その際に照射領域外で起こる蛍光の消失を測定することで、蛍光ラベルしたタンパク質の移動を解析する方法を ㋑ という。

また、異なる蛍光物質でラベルした二つのタンパク質を同じ細胞に発現させ、それらのタンパク質の間で励起エネルギーの移動があるかを観察することで、タンパク質の相互作用を検出する方法を ㋒ という。」

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

知らなくてもなんとか頭文字で推測し、選択肢をしぼりたい問題です。

F は 「fluorescence:蛍光」の頭文字です。そして ㋒ ですが 励起「エネルギーの移動」とあるから ET が energy transfer の略と推測できると嬉しい問題です。正解は 1 or 2 です。ここまでしぼれば十分です。


㋐ は FRAP です。
FRAP は「fluorescence recovery after photobleaching」の略です。問題文の「~させた後、…」とあるから A が「after」の略では、と推測できるととてもよいです。


㋑ は FLIP です。
FLIP は「fluorescence loss in photobleaching」の略です。

FRAP、FRIP は共に蛍光タンパク質に光を照射し続けると、蛍光強度が不可逆的に減衰する現象である「光褪色」を利用した実験手法です。


以上より、正解は 2 です。

類題 H27no82 蛍光と化学発光
https://yaku-tik.com/yakugaku/km-27-82/

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