国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R1年 問94解説

 問 題     

放射線による人体への影響について、2007 年の国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告の放射線防護体系に関する記述 ㋐~㋓ のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 放射線による組織反応(確定的影響)には白内障などがあり、確率的影響以外の全ての影響が含まれる。

㋑ 放射線による組織反応(確定的影響)の発生する線量にはしきい線量があり、被ばくした人の10 % に影響が現れる線量とされている。

㋒ 皮膚基底細胞の放射線感受性は高く、その体表からの深さに対応する1 cm 線量当量が皮膚の等価線量として使用されている。

㋓ 放射線による組織反応(確定的影響)の発症防止を目的に、公衆被ばくについては、眼の水晶体、皮膚の等価線量限度が示されている。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋑、㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。
影響は、確定的影響と確率的影響とに分けることができます。

㋑ ですが
しきい値とは、境目になる値のことです。確定的影響には、しきい値が存在します。すなわち、ある程度以上の放射線を浴びていなければ影響がでないということです。具体的には「1~5%に影響が現れる線量」とされています。「10% に影響が現れる線量」ではありません。よって、㋑ は誤りです。

㋒ ですが
人体が同じ放射線を受けても、身体の表面と、内部の深い部分で与えられたエネルギーの量が異なります。評価のため、1cm 線量当量を 目と皮膚以外の臓器・組織が受けた線量を評価する時に使います。それ以外は 70μm の深さの線量を使います。よって、㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 3 です。

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