国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R1年 問90解説

 問 題     

イオンの膜輸送に関する記述 ㋐,㋑,㋒ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 一般的な哺乳類細胞では,Na+ は細胞外において,K+ は細胞内において高濃度に存在する。これらイオンの濃度勾配を形成する機構の一つとして,細胞膜では Na+ ‒ K+ ポンプが電位依存的に駆動する。

㋑ 古細菌より単離されたバクテリオロドプシンは,ATP のエネルギーを利用して,H+ を細胞外にくみ出すことにより細胞膜を介した H+ の濃度勾配を形成する。

㋒ 主に細胞膜と小胞体膜にある Ca2+ ポンプの働きにより,細胞質における Ca2+ 濃度は,細胞外と比べて,通常,低く保たれている。

1.㋐
2.㋐,㋑
3.㋐,㋒
4.㋑,㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
ATP を用いて Na+ ‒ K+ ポンプ により、Na+が外、K+が内側高濃度であるように保たれています。「電位依存的に」ではありません。よって、㋐ は誤りです。正解は 4 or 5 です。㋒ は妥当な記述です。

㋑ ですが
バクテリオロドプシンは「光駆動プロトンポンプ」です。ATP のエネルギーを利用するわけではありません。よって、㋑ は誤りです。

以上より、正解は 5 です。

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