国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R1年 問84解説

 問 題     

脊椎動物の発生のシグナル分子に関する次の記述の ㋐~㋓ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「発生に関わるシグナルタンパク質には多くの種類が同定されており、幅広い動物種で共通に用いられることが知られている。その代表的な例である b‒カテニンは ㋐ シグナルに関わるタンパク質で、細胞が ㋐ シグナルを受けると b ‒ カテニンは ㋑ へ移行する。また、細胞間でシグナルを伝達する Delta は ㋒ の分子であり、その受容体は ㋓ である。

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
wnt シグナル経路は、胚発生とガンに関連するタンパク質のネットワークです。古典経路と非古典経路に大きく分類され、Wntーβーカテニン経路は古典経路とされています。㋐ は Wnt です。ちなみに、FGF は線維芽細胞成長因子です。正解は 3 ~ 5 です。

㋑ ですが
細胞が Wnt シグナルを受けると、βーカテニンが蓄積、核内に移行した後、転写因子Tcf/Lef(T-cell factor/lymphoid enhancer binding factor)と複合体を形成して cyclin D1やc-myc などの遺伝子発現を促進し、細胞の増殖や分化を制御します。

㋒、㋓ ですが
細胞間の情報の伝達方法の一つが Notch シグナルです。
Notch シグナルは隣り合う細胞同士の情報伝達を担っています。 Notchシグナルでは Delta、Jaggedと呼ばれる情報の送り手側にあるタンパク質と、Notch と呼ばれる情報の受け取り手側にあるタンパク質が重要な働きをします。それぞれ膜貫通型タンパク質です。

以上より、正解は 4 です。

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