国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R1年 問67解説

 問 題     

施肥法に関する記述 ㋐~㋓ のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ アンモニウム態窒素肥料の水田への施肥においては、表層施肥より全層施肥の方が、脱窒による肥効の低下を防ぐことができる。

㋑ 有機質肥料の分解に伴う窒素の養分放出はそのC/N 比(炭素率)によって異なり、一般にC/N 比がおよそ100 のときは有機態窒素の無機化が起こり、C/N 比がおよそ5 のときは無機態窒素の有機化が起こる。

㋒ ダイズの単位重量当たりの必要窒素量はコムギより少ない。根粒菌による窒素固定が起こるため、ダイズの窒素吸収全体に占める施肥窒素の割合は、根粒菌による固定窒素よりも低い。

㋓ 施肥窒素が作土層から系外へ失われる要因として、硝酸態窒素の地下水への溶脱、大気へのアンモニア揮散、脱窒などが挙げられる。

1.㋐、㋒
2.㋐、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。
水田において、アンモニア態窒素は表面酸化層で酸素と結合→硝酸態へ→還元層に浸透→N2 になって脱窒 という流れを経ます。そのため、全層施肥により表面での酸化を避けることができる割合を増やすことで、脱窒による肥効の低下を防ぎます。

㋑ ですが
C/N 比が大きい場合とは C が N と比較して大きいということです。一般的に C/N 比が 20 を境として、20 より小さいと、微生物による有機物分解が早く、すみやかにチッソが放出される「無機化」がおきます。一方 C/N 比が 20 より大きいと、土の中の N が肥料に含まれる微生物に取り込まれる「有機化」がおきます。 C/N 比 100 の時と 5 の時の記述が逆です。よって、㋑ は誤りです。

㋒ ですが
大豆といえば「畑の肉」と呼ばれたりするように、タンパク質豊富です。従って、必要窒素量が大きいと判断できるのではないでしょうか。㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 2 です。

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