国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H30年 問18解説

 問 題     

物質A、B、C の標準生成エンタルピーは表のとおりである。いま、容積が変えられる密閉容器の中で、A、B、C から成る次の可逆反応

A(g) + B(s) ⇄ 2C(g)  

が平衡に達しているとする。次の操作 ㋐、㋑、㋒ のうち、この平衡系に対して行うと、系中の C の物質量が増加する操作として妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ただし、A、C の各気体は理想気体として振る舞うものとし、固体の B の体積は各気体に比べて無視できるほど小さいものとする。また、各操作後において相転移は起こらないものとする。

㋐ 温度一定の条件で圧力を高くする。
㋑ 圧力一定の条件で温度を高くする。
㋒ 温度・圧力一定の条件で不活性ガスを加える。

1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋑
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
気体成分に注目すれば、A ⇄ 2C なので、圧力が高くなると「左に平衡が移動」すると考えられます。すると C が減ります。よって、㋐ は誤りです。正解は 3 ~ 5 です。

㋑ は妥当な記述です。
標準生成エンタルピーから、エネルギー的に A ができると相対的に安定です。そのため、A から C になるには熱必要です。A + B → 2C の反応を考えれば、 200kJ 分「吸熱」と考えられます。温度を高くすれば「吸熱方向」に平衡が移動すると考えられます。

㋒ は妥当な記述です。
圧力一定で不活性ガス加えるので「分圧低下」です。圧力増加方向、つまり A → 2C 方向に平衡が移動します。

以上より、正解は 4 です。

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