国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問93解説

 問 題     

放射線に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ シーベルト(Sv)は放射線防護のための特殊な単位で、放射線を受けた対象がヒトである場合に使う。

㋑ α 線と β 線は荷電粒子放射線、中性子線は非荷電粒子放射線、γ 線と X 線は電磁放射線である。

㋒ 大地からの自然放射線による被ばく線量は世界中どこでも同程度で、 1 年当たり2 〜3 mSvである。

㋓ a 線がヒトの皮膚に当たった場合、数mm しか透過できないため、皮膚の熱傷以外に体内の臓器への影響はない。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐、㋑ は妥当な記述です。
シーベルトは、放射線の種類を考慮した人体への被曝影響を評価した数値を示します。ちなみに他によく使われる単位がグレイ(Gy)、ベクレル(Bq)です。1Gy は、物質 1kg につき 1J の仕事相当エネルギーを受けるという単位です。ベクレルは、1秒あたりの壊変数を表します。
参考 薬剤師国家試験 99-22

㋒ ですが
大地からの自然放射線による被ばくは、大地に含まれる天然放射性元素の含有量により異なると考えられます。また、1人が1年間で自然から受ける平均的な放射線量が約 2.5 ミリシーベルトとされています。大地だけから 2~3 mSv は多すぎです。よって、㋒ は誤りです。

㋓ ですが
α 線の透過距離は「数十μm」です。数mm 透過は β 線についての記述と思われます。よって、㋓ は誤りです。 

以上より、正解は 1 です。

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