国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問66解説

 問 題     

施設園芸に起こり得る典型的な問題に関する記述㋐、㋑、㋒のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ ガラスやビニールにより閉鎖された空間であるため、ガスによる作物の障害が起こり得る。土壌pH が7 以上のとき、亜硝酸ガスの発生が問題となる。

㋑ 過剰施肥に由来するリンが土壌に集積する。土壌に集積したリンは、除塩対策を施しても土壌に残留する。

㋒ 土壌中の水は、蒸発に伴い下層から表層へと移動するため、土壌表層に塩類が集積しやすい。集積する塩類は主に塩化ナトリウムであり、作物にナトリウム障害が起こりやすい。

1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋒
4.㋑
5.㋑、㋒

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
pH 7 以上というのは中性~アルカリ性ということです。亜硝酸ガスが発生するのであれば酸性側では?と感じるのではないでしょうか。pH 7以上で発生するガスといえば「アンモニア」などが考えられます。亜硝酸ガスは、大体 pH 5 以下の施設栽培で発生しやすいガスです。よって、㋐ は誤りです。正解は 4 or 5 です。これにより、㋑ は妥当とわかります。

㋒ ですが
施設栽培では、長期の多肥栽培、雨による溶脱機会が少ないといった理由から、「肥料由来の塩類」が土壌表層に蓄積しやすいです。アンモニア、カルシウム、カリウムなどが、土壌水分の上昇によりしだいに集積します。塩化ナトリウムではありません。よって、㋒ は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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