国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問55解説

 問 題     

組織移行に関する記述 ㋐ 〜 ㋓ のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 肝臓の毛細血管壁の構造は、有窓内皮に分類される。
㋑ 皮膚、筋肉、脂肪組織では、一般的に血液から組織への薬物移行が遅い。
㋒ 薬物の組織移行性が大きいほど、分布容積は小さくなる。
㋓ 分子量5000 以上の薬物は、筋肉内投与後、リンパ系に移行しやすい。

1.㋐、㋒
2.㋐、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
肝臓の毛細血管壁は、内皮に多数の小孔がある「類洞(シヌソイド)」と呼ばれるものです。「有窓内皮」ではありません。有窓性毛細血管の代表例は、腎臓、内分泌腺、腸粘膜などの毛細血管です。イメージとしては、物質がいっぱい透過する場所の毛細血管です。よって、㋐ は誤りです。

㋑ は妥当な記述です。
ちなみに、血液の循環量が多く、循環が速い臓器 (脳、肝臓、腎臓、心臓など)には、それだけ多く、速く、薬物が分布します。

㋒ ですが
薬物が血中→組織へどんどん移行するのであれば、それは広く分布するということです。分布容積は「大きくなる」と考えられます。よって、㋒ は誤りです。

㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 4 です。

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