国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問50解説

 問 題     

睡眠障害とその治療薬に関する記述 ㋐、㋑、㋒ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 不眠症には、入眠障害型、熟眠障害型、中断型睡眠障害の三つの型がある。このうち中断型睡眠障害は高齢者に多い。
㋑ ラメルテオンは、メラトニン受容体に対して高い親和性を有するアゴニストで、睡眠覚醒サイクルを正常化して生理的な睡眠を誘導する。
㋒ トリアゾラムは、GABAA 受容体への GABA の結合を阻害して Cl の細胞内流入を阻害する。その結果、大脳辺縁系の活動を抑制し、催眠導入作用を示す。

1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋑
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐、㋑ は妥当な記述です。

㋒ ですが
トリアゾラム(ハルシオン)は、ベンゾジアゼピン(Bz)系催眠薬です。Bz 系の作用機序は、GABAA 受容体における Bz 結合部位に結合することで、GABA 神経系の活動性を高めることです。具体的には、Cl チャネルを開口させることで、Cl の透過性を亢進させます。この結果、過分極を引き起こします。「Cl の細胞内流入を阻害」ではありません。よって、㋒ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。
参考)薬理学 2-1 2)

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