国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問10解説

 問 題     

集団の進化に関する次の記述の㋐、㋑に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「集団サイズが十分に大きく、問題とする遺伝子に突然変異が起こらず、他の集団との間で個体の移入や移出がなく、自然選択が起こらず、交配が自由に行われる場合、集団内の対立遺伝子と遺伝子型の頻度は世代を㋐。これをハーディ・ワインベルグの法則といい、しばしば集団が進化しているかどうかを検証するのに用いられる。

ヒトの MN 式血液型には、M 型、N 型、MN 型の三つがあり、これらは優劣がない1 対の対立遺伝子によって決定される。あるヒト集団において、M 型の割合が36 % であるとき、この集団が上記の法則に従うならば、MN 型の割合は㋑となる。」

㋐ ㋑
1.重ねても変化しない 48 %
2.重ねても変化しない 24 %
3.重ねても変化しない 16 %
4.重ねると変化する  48 %
5.重ねると変化する  16 %

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

例として、対立遺伝子 A の頻度が 60%、a の頻度が 40% だったとします。すると、A/A を有する個体は 36、A/a を有する個体は 48、a/a を有する個体は 16 となる、というのがハーディワインベルグの法則です。

この時、遺伝子頻度は結局変わっていないことに注目してください。すなわち、A に注目すれば、36 × 2 + 48 × 1 = 120、a に注目すれば 48 × 1 + 16 × 2 = 80 で、それぞれ 60%,40% となります。㋐ は「重ねても変化しない」です。正解は 1 ~ 3 です。

㋑ ですが
M 型 が 36% というのは、片方の対立遺伝子の頻度が 60% であることを意味します。従って、もう一方の対立遺伝子の頻度は 40% です。MN 型の割合は 0.6 × 0.4 × 2 = 0.48 = 48% です。

以上より、正解は 1 です。

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