問 題
窒素源として 15N のみを含む培地で大腸菌を長時間培養することにより、その DNA に含まれる全ての窒素を 15N に置換した。この大腸菌を親世代とし、窒素源として 14N のみを含む培地に移して培養を続けた。
親世代の大腸菌から DNA を取り出し、塩化セシウム密度勾配遠心法により分離した結果、図 A のようになった。その後 1 回細胞分裂した第 1 世代及び 2 回細胞分裂した第 2 世代の大腸菌から DNA を取り出し、同様に分析した結果として期待される図を図 B〜G のうちからそれぞれ選び出したものの組合せとして最も妥当なのはどれか。
第1 世代 第2 世代
1. 図B 図E
2. 図B 図G
3. 図C 図F
4. 図D 図E
5. 図D 図F
解 説
取り込む N の違いにより、DNA の密度が変化します。密度の変化に基づいて分離を行うのが密度勾配です。
初めの大腸菌を 100 匹と仮定します。
100 匹は 15N のみを含んだ 重たい DNA を含んでいます。そのため、図 A のように、一番右側にピークが見られます。
100 匹が細胞分裂をして 200 匹になります。
この 第1世代 200 匹が含む DNA は、「15N を含む一本鎖 DNA を鋳型とし、複製された DNA鎖 は 14N を含むもの」です。従って、図 A のピークよりは軽い方にピークが1つできると考えられます。第1世代 は、図 D が妥当です。
次に、200 匹が分裂して 400 匹になります。この第 2 世代 400 匹が含む DNA は、2種類考えられます。すなわち、「15N を含む一本鎖 DNA を鋳型とし、複製された DNA鎖 は 14N を含むもの」と、「14N を含む一本鎖 DNA を鋳型とし、複製された DNA鎖 は 2 本とも 14N を含むもの」です。それぞれの DNA を有する大腸菌が 200 匹ずつ生まれます。従って、図 D と同じところと、それよりも軽い所に、ほぼ同じ大きさのピークが見られると考えられます。第 2 世代は、図 E が妥当です。
以上より、正解は 4 です。
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