国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問7解説

 問 題     

ある植物の発芽種子の呼吸基質の種類を調べるために、図Ⅰのような装置を用いて、発芽種子が放出した二酸化炭素と吸収した酸素の体積比(呼吸商)を求める実験を行った。

二つの容器に発芽状態が同じ種子を同数ずつ入れ、一方の容器内には十分な濃度の水酸化カリウム水溶液を、もう一方の容器内には水を入れ、容器内の気体の減少量を測定した。図Ⅱはこの結果を表したグラフで、容器内に水酸化カリウム水溶液を入れた場合(実線)と水を入れた場合(破線)を示している。この実験結果から導き出される呼吸商とそこから推定される呼吸基質の組合せとして最も妥当なのはどれか。

呼吸商 呼吸基質
1. 0.3 タンパク質
2. 0.3 脂肪
3. 0.7 炭水化物
4. 0.7 タンパク質
5. 0.7 脂肪

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

呼吸商とは、O2 消費量に対する CO2 消費量の比です。

水を入れていた時の 15 とは、吸った O2 と 排出した CO2 の差です。O2 の方をいっぱい吸っているため、容器内の気体が 10 分で 15μL 減少したと読み取れます。

水酸化カリウムは CO2 を全て吸収します。つまり、吸った O2 量が減少し、排出した CO2 は全て吸収されるため、吸った O2 は 10 分で 50 μL とわかります。

従って、呼吸商は 生成 CO2/消費 O2 = 35/50 = 0.7 です。呼吸商は基質が一種類であれば、炭水化物なら 1、タンパク質なら 0.8、脂肪なら 0.7 です。

以上より、正解は 5 です。  

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