国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問78解説

 問 題     

微生物を利用した飲食品に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ Botrytis cinerea は灰色カビ病の原因菌であるが、ブドウの果皮にこの菌が繁殖してできた貴腐ブドウを使用して貴腐ワインが造られる。

㋑ 琉球泡盛のもろみは、リンゴ酸生成能の高い黒麹菌を用いることによって、もろみが酸性に保たれるため、汚染微生物の繁殖が防止される。

㋒ 食酢製造では、酢酸菌による好気的発酵が行われ、その中でも静置発酵法では発酵液表面に酢酸菌による菌膜が形成される。

㋓ 醤油製造に用いられる麹菌は、原料の大豆からうまみ成分を作り風味を高めるため、リパーゼ活性が高い菌株が使用される。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。
ボトリティス・シネレアによる病気は灰色かび病と呼ばれます。これが白ワイン品種用のブドウに感染することで、糖度の高まり、芳香などが生まれるのが「貴腐」という現象です。

㋑ ですが
黒麹菌が高い生成能を有するのは「クエン酸」です。リンゴ酸ではありません。よって、㋑ は誤りです。

㋒ は妥当な記述です。

㋓ ですが
「リパーゼ」ではなく「プロテアーゼ」です。原料の大豆から、旨味成分であるグルタミン酸やペプチドを作り風味を高めるため、タンパク質分解酵素であるプロテアーゼ活性が高い菌株が用いられます。よって、㋓ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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