国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問72解説

 問 題     

アミノ酸の代謝に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ システインは、メチオニンから生成される。メチオニンのホモシステインへの変換に続いて、ホモシステインとセリンがシスタチオニンを生成し、その加水分解によりシステインが生じる。

㋑ トリプトファンは、強力な血管収縮作用をもつメラトニンの前駆物質である。メラトニンの
Nーアセチル化と、それに続く Oーメチル化によりセロトニンが生成される。

㋒ チロシンは、ドーパミンの前駆物質である。ドーパミンからは、ノルアドレナリンを経由し
てアドレナリンが生成される。

㋓ アラニンは、オキサロ酢酸のアミノ基転移によって生成する。一方、アスパラギン酸はピル
ビン酸のアミノ基転移により生成される。

1.㋐
2.㋐、㋒
3.㋑
4.㋑、㋓
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。
ちなみに、メチオニンから生成されるため、システインは食物から摂取しなければならない必須アミノ酸ではありません。

㋑ ですが
メラトニンがトリプトファンから合成されることは正しい記述です。ただし、「セロトニン」のNーアセチル化と、それに続く Oーメチル化により「メラトニン」が生成される、が正しい記述です。また、トリプトファンに強力な血管収縮作用は知られていません。トリプトファン代謝産物であるセロトニンとの混同を狙った記述と思われます。よって、㋑ は誤りです。

㋒ は妥当な記述です。

㋓ ですが
アラニンと、アスパラギン酸の記述が逆です。よって、㋓ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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