国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問52解説

 問 題     

アルツハイマー型認知症治療に用いられるコリン作動性神経伝達を促進する薬物の特徴に関する記述㋐、㋑、㋒のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ ドネペジルは、コリンアセチルトランスフェラーゼを活性化し、脳内アセチルコリン濃度を
高めることにより、脳内コリン作動性神経系を賦活する。日本で開発された治療薬であり、重
症度に関係なく軽度から高度のアルツハイマー型認知症患者に使用できる。

㋑ ガランタミンは、アセチルコリンエステラーゼを阻害することによる脳内アセチルコリン濃
度の上昇と併せ、アセチルコリンに対するムスカリン性アセチルコリン受容体の感受性を亢進
させることにより、脳内コリン機能を増強させる。

㋒ リバスチグミンは、アセチルコリンエステラーゼ及びブチリルコリンエステラーゼを阻害す
ることにより、脳内アセチルコリン濃度を高め、脳内コリン作動性神経系を賦活する。副作用
である消化器症状を軽減するために経皮吸収型製剤(貼付剤)として用いられる。

1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋑
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
ドネペジルはアセチルコリンエステラーゼ(AchE)阻害薬です。「コリンアセチルトランスフェラーゼを活性化」ではありません。よって、㋐ は誤りです。

㋑ ですが
ガランタミンは、AChE を競合的に阻害することで、脳内 ACh 濃度を上昇させ、かつ「ニコチン性」アセチルコリン受容体(nAChR) に対するアロステリック活性化リガンド(APL)として作用することにより脳内コリン機能を増強させます。「ムスカリン性」ではありません。よって、㋑ は誤りです。

㋒ は妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。
参考 薬理学 2-1 4)

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