国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問43解説

 問 題     

生体試料に含まれる低分子量の薬物や金属イオンの分析を実施するには前処理をすることが多い。この前処理の方法に関する記述㋐〜㋔のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 溶媒抽出法により試料中の薬物を有機相へ抽出する際には、メタノールやアセトニトリルがよく用いられる。
㋑ 薬物の溶媒抽出法は、固相抽出法に比べ一般に回収率が高く、溶媒の使用量を少なくすることができる。
㋒ 溶媒抽出法による薬物の抽出効率を高めるため、塩化ナトリウムなどの無機塩を試料に飽和濃度まで加えてから有機溶媒で抽出することがある。
㋓ 湿式灰化法では、金属イオンを含む試料を硫酸、硝酸や過塩素酸で処理して有機物質を分解除去することができる。
㋔ 試料中のタンパク質を効率良く沈殿させて除去するために加える酸として、塩酸や硫酸がよく用いられる。

1.㋐、㋑、㋒
2.㋐、㋑、㋔
3.㋑、㋔
4.㋒、㋓
5.㋓

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
溶媒抽出法の代表例は、分液ろうとでバシャバシャやる分離です。水(水層)と、ベンゼンやクロロホルム(有機層)で行います。アセトニトリルやメタノールのように極性が高い物質だと水に溶けてしまうので、全体が混ざってしまい抽出できません。よって、㋐ は誤りです。

㋑ ですが
固相抽出の代表例は、ミニカラムによる抽出です。固相抽出の方が一般的に回収率が高く、溶媒使用量は少なくなります。よって、㋑ は誤りです。

㋒、㋓ は妥当な記述です。

㋔ ですが
加える酸として代表的なものは、過塩素酸、トリクロロ酢酸、メタリン酸などです。よって、㋔ は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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