国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問41解説

 問 題     

質量分析法に関する記述㋐〜㋔のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 電子イオン化(EI)法は、試薬ガスのイオン化を介する方法であるため、化学イオン化(CI)法に比べて、試料から生成するフラグメントイオンの数が少ない。

㋑ エレクトロスプレーイオン化(ESI)法では、多数のプロトンの付加や脱離、アルカリ金属の付加などにより、一般に多価イオンが生成しやすい。

㋒ マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法では、混和するマトリックスの影響で、照射するパルスレーザーのエネルギーが吸収され、試料が効率良く分解されてフラグメントイオンが生成しやすい。

㋓ 質量分析部が磁場型(セクター型)である質量分析計では、電磁石により磁場を形成するため、測定可能な質量範囲に限界がない。

㋔ 質量スペクトル上で観測される分子イオンピークと同位体ピークの強度比から、試料分子の元素組成を推定することができる。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋓
3.㋑、㋔
4.㋒、㋓
5.㋒、㋔

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
電子イオン化法は、熱電子を気化した試料にぶつけるイオン化法です。化学イオン化法と比べて、よりフラグメンテーションがおきやすい手法です。よって、㋐ は誤りです。

㋑ は妥当な記述です。

㋒ ですが
MALDI 法は、フラグメンテーションが起こりにくいイオン化法です。特に分子量が数万~数十万といったタンパク質やペプチドなどの生体高分子化合物の測定を得意とします。よって、㋒ は誤りです。

㋓ ですが
磁場型であれば、磁場の強さに限界があるため、測定可能な質量範囲にも限界があると考えられます。理論上、測定可能な質量範囲に限界がないという記述は、飛行時間型についてと思われます。よって、㋓ は誤りです。

㋔ は妥当な記述です。

以上より、正解は 3 です。

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